魔法の4分

先日、中学生の娘が学校のワークを広げていました。

中間テストも近くになり、それに向けて取り組んでいきたいところです。

しかしながら、ワークを広げてはいるものの、取りかかってはいませんでした。

そしてぼそっと言いました。

「あかん、やる気が出えへん。」

とてもよくあることですよね。

やる気が出ない中でもカバンからワークを出して、すべきページを開いている我が娘。

でも結局、娘はこのタイミングでは勉強せずに終わっていました。

 

やる気が出ている状態というのは、脳から「ドーパミン」がたくさん生成されている状態です。

ドーパミンは「やる気のエンジン」とも言われています。

やる気には欠かせないものですが、残念なことに我々はドーパミンの生成を瞬時に自由に行えるわけではありません。

日常生活の中で「なんか急にやる気が出てきた!」ということがありますが、これはうれしいことやテンションが上がる出来事が起こっていて、それで脳が刺激されドーパミンが生成されている、という人がほとんどではないでしょうか。

自分から生むのではなく、外的要因で勝手に湧いてくるのがドーパミン、やる気です。

こんな不安定なものが出てくるのを待ってから行動していては何もできません。

じゃあ結局のところ、しんどいことややりたくないことはひたすら苦行として取り組まなければならないのでしょうか。

普段から家で勉強をすることが習慣になっている人は、ドーパミンがいつも大量生成され、やる気があるから勉強やしんどいことに取り組めているのでしょうか。

実はそうじゃないのです。

我々はドーパミンの生成を自分の思い通りに一切行ないのではありません。

数行上に書いていますが「瞬時に」行えないだけです。

「4分」あれば、ドーパミンを生成することができます。

 

アメリカの心理学者レナード・ズーニンは「ズーニンの法則」というもので知られている心理学者です。

彼は研究結果から、「脳にある側坐核という部分が刺激されてドーパミンが生成されるまでの時間は4分だ」と発見しました。

そして「最初の4分を頑張れば、そのあとも続けられる」と提唱しています。

「作業興奮」という言葉を聞いたことがある人もいるかもしれませんが、これと同じです。

作業興奮とは「行動することでやる気が湧いてくる現象」のことです。

やりたくないことでもやり始めてしばらくすると苦痛ではなくなり、むしろやる気が出て集中している、なんてことを生活の中で体験したことはないですか?

「もうすぐで終わるねん!そこまでやってしまいたいからもうちょっと時間ちょうだい!」のような経験。

いやいや、さっき「やりたくない~やる気でえへん~しんどい~」って言ってなかったっけ?みたいなね。

それです。

 

「やる気」が大切なのはもちろん当然のことです。

でも、これは「やる気出せよ!」と言われても瞬時に出せないのが事実。

しんどいことやしたくないことって最初の一歩を出すことが一番キツいです。

でもでも、少し頑張ってスタートさせてみて、4分頑張ればやる気のエンジンであるドーパミンがどんどん出てくるのです。

これはすごく勉強のハードルが下がりませんか?

 

やる気が全くない中でもカバンからワークを出して、やるべきページを広げていた我が娘。

そこまでできたのに「取りかかること」ができなかった我が娘。

だから結局そのときは広げただけで終わってしまいました。

あそこで「まずは1問取りかかる」ができていれば、きっとワークが順調に進んだでしょう。

やる気は自分ですぐには出せないですが、やり始めれば自然と湧いてくるのです。

最初の4分だけしんどいですが、そのあとはきっとスムーズに進みます。

魔法の4分。

魔法がかかったかのように4分前の自分とは違いますよ!